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発散防止抑制装置とは?局所排気装置との違いについても解説!

2026.02.xxに公開

工場や研究施設などで有害物質を扱う現場では、作業者の安全確保のために局所排気装置の導入が欠かせません。一方で「導入にはどのくらいの費用がかかるのか」「本体価格以外に何が必要なのか」「ランニングコストは高いのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、局所排気装置の価格相場や費用内訳、導入コストを抑える方法などを解説します。導入を検討している方が、無駄なコストをかけずに最適な設備を選ぶための参考にしてください。


局所排気装置とは?

局所排気装置とは、作業中に発生する有害物質を作業場全体に拡散する前に発生源の近くで集中的に捕集し、屋外へ排出するための装置です。作業場所の一部で空気の汚染が起こると、そのままでは室内全体に広がり、作業者が吸い込むリスクが高まります。

局所排気装置はフードやダクトを用いて汚染空気を高濃度のまま吸引し、空気清浄装置や排風機を通して排出することで、作業環境への影響を最小限に抑えます。局所排気装置は、安全で衛生的な作業環境を維持するうえで重要な装置です。


局所排気装置の導入価格

局所排気装置を導入する際、多くの方がまず気にするのが「いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。

ここでは、局所排気装置の導入価格を構成する主な項目について、内訳ごとに解説します。

本体価格

局所排気装置の本体価格は、導入費用の中でも大きな割合を占める要素です。装置の種類やサイズ、仕様によって価格帯は大きく異なり、一般的なドラフトチャンバーではおおよそ200万円から400万円程度が目安とされています。

ドラフトチャンバーとは、局所排気装置の種類のひとつで、作業スペースを囲う「囲い式」に該当します。特殊な仕様になると、500万円を超えるケースも珍しくありません。

また、設置場所の制約に合わせた特注サイズや耐薬品性、排ガス処理方式などによっては、標準機よりもコストが上がる傾向があります。本体価格は単純な金額比較だけでなく、使用目的や法令要件を満たしているかを踏まえて判断することが重要です。

設置工事費

局所排気装置は、本体を購入しただけでは使用できず、必ず設置工事が必要になります。

設置工事費の主な内訳は以下のとおりです。

  • 装置の運送や搬入
  • 据付作業
  • ダクト工事
  • 電気工事
  • 給排水工事

特にドラフトチャンバーのような大型設備では、搬入経路の確保や床耐荷重の確認が必要となり、場合によってはクレーン作業が発生することもあります。また、屋外へ排気するためのダクトルートが複雑な場合や、外壁貫通工事が必要な場合は工事費が高くなりがちです。

これらを含めると、設置工事費だけで数十万円から数百万円規模になることもあり、導入前に現地調査を行ったうえで見積もりを取ることが欠かせません。

周辺設備の見直しコスト

局所排気装置の導入は、周辺機器の見直しも大切です。排気量が増えることで、室内が過度な負圧状態になったり、空調バランスが崩れたりする可能性があります。

その場合、給気設備の追加や空調設備の能力見直しといった周辺設備の調整が必要です。また、ダクトの外壁貫通に伴い、防火区画の処理や防火ダンパーの設置が求められるケースもあります。

設置スペース確保のために、既存の実験台や機器を移設する必要が生じることもあり、その分のレイアウト変更費用も発生するでしょう。

法的対応に関する費用

局所排気装置は、労働安全衛生法や各種規則に基づいて設置や運用が求められる設備です。そのため、法的対応に関する費用も導入価格の一部として考える必要があります。

代表的なものとして、設置後に実施する風速測定や排気性能確認などの試運転調整費用があります。これらは外部の専門業者に依頼することが多く、数万円から十数万円程度が一般的です。

また、対象となる作業内容によっては、労働基準監督署へ提出する機械等設置届などの書類作成が必要になり、その作成費用が発生する場合もあります。導入後も年1回の自主検査や記録保管が義務付けられているため、初期費用だけでなく将来的な維持コストも見据えておくことが大切です。

消耗品・オプション費用

局所排気装置の導入時には、消耗品や各種オプションにかかる費用も考慮する必要があります。

たとえば、以下のような消耗品・オプション費用が挙げられます。

  • 排気フィルターや活性炭
  • 自動サッシ
  • 追加のコンセントやガスバルブ、水栓
  • 遮熱板や耐熱仕様といった追加オプション

これらの費用は必須ではないものの、作業効率や安全性につながるため、業者に相談しながら慎重に選定することが重要です。


局所排気装置の設備維持にかかる費用

局所排気装置は、設置して終わりではなく、継続的な点検や管理によって性能を維持することが重要です。適切な設備維持を行わなければ、排気能力の低下や法令違反につながるおそれもあります。

ここでは、局所排気装置を安全かつ適正に運用するために必要となる、設備維持にかかる費用について解説します。

定期自主検査にかかる費用

局所排気装置は「設置して終わり」ではなく、性能を維持して初めて意味を持つ設備です。検査やメンテナンスを怠ると、排気能力の低下や法令違反につながる可能性があります。

定期自主検査にかかる主な費用は以下のとおりです。

このように、局所排気装置の運用・維持には年間数十万円のランニングコストがかかります。

局所排気装置の稼働にかかる電気代

局所排気装置は、有害物質を排出するために常時大量の空気を吸気・排気する必要があり、稼働時の電気代は無視できません。名古屋大学の調査では、囲い式の局所排気装置を1日10時間稼働させた場合、1台あたり約1.3kWの電力を消費していました。

電力量料金を31円/kWh、年間240日稼働とすると、電気代は約9万円に達します。これは排気ファンの駆動だけでなく、排気に伴って失われる冷暖房空気を補う給気や温度調節にもエネルギーが必要なためです。

特に大型装置や常時稼働の現場では、電気代がランニングコストとして大きな負担になるでしょう。

出典:名古屋大学|理系施設の省エネ診断結果からみた利用の詳細と省エネ手法


局所排気装置の電気代を抑える省エネ対策3選

前述したとおり、局所排気装置を稼働するには大量のエネルギーが必要となり、電気代の負担が大きい点はデメリットです。ここでは、局所排気装置の電気代を抑える省エネ対策を3つ紹介します。

空気制御の工夫

ドラフトチャンバータイプの局所排気装置では、サッシの開閉量に応じて給排気風量を自動制御する仕組みを導入することで、省エネ効果が期待できます。作業中は必要な風量を確保し、作業していない時間帯やサッシが閉じている状態では風量を抑えるため、無駄な電力消費を防ぐ仕組みです。

常時最大風量で運転する場合と比べ、排気ファンの消費電力や空調負荷を削減できる点が特徴です。特に使用頻度が高い現場ほど、省エネ効果が積み重なり、電気代削減につながるでしょう。

室内排気の工夫

局所排気装置を使用していない時間帯に、必要以上の外気排気を行うと、空調された空気が無駄に失われてしまいます。そこで有効なのが、室内排気モードを活用する方法です。

換気量が不足する場合でも、屋外に排気せず室内循環を中心とした排気に切り替えることで、空調負荷を抑えつつ換気量を確保できます。室内のエアバランスを維持しながら省エネ効果が期待できるでしょう。

給気量を抑える

局所排気装置は、給気した空気をそのまま排気する仕組みのため、給気量が多いほど冷暖房エネルギーを消費します。外気給気を適切に制御できるタイプの装置を導入すれば、必要最小限の給気で運転でき、室内空気の過剰な流出を防ぐことが可能です。

空調された空気を屋外へ排出する量を減らせるため、給排気に伴う温度調節のエネルギー消費を抑えられます。結果として、局所排気装置全体のランニングコスト削減につながる省エネ対策です。


局所排気装置の導入価格を抑える方法

局所排気装置は安全対策として欠かせない設備ですが、導入にはまとまった費用がかかります。そのため「できるだけコストを抑えたい」と考える事業者も多いでしょう。

ここでは、無理なく導入コストを下げるための現実的な方法を解説します。

既存設備と組み合わせる

局所排気装置を新規で一式導入すると、装置本体だけでなくダクトやファン、給排気設備まで含めた工事が必要になり、費用が膨らみがちです。そこで有効なのが、すでに設置されている換気設備やダクト、空調設備を活用する方法です。

既存の排気経路を流用できれば、工事範囲を最小限に抑えられ、設置工事費を大幅に削減できます。ただし、既存設備が法令や性能基準を満たしているかの確認は不可欠なため、専門業者による事前調査を行ったうえで検討することが重要です。

複数業者から相見積もりと交渉を行う

局所排気装置の価格や工事費は、業者ごとに大きく差が出ることがあります。最初から1社に絞ってしまうと、相場より高い金額で契約してしまう可能性も否定できません。

複数の業者から見積もりを取り、内容や内訳を比較することで、適正価格が見えてきます。また、他社の見積もりをもとに条件交渉を行うことで、値引きや仕様調整に応じてもらえるケースも少なくありません。

手間と時間はかかりますが、結果的に導入コストを抑えやすくなります。

補助金・助成金を活用する

局所排気装置の導入は、安全衛生対策や作業環境改善につながるため、補助金や助成金の対象となる場合があります。ものづくり補助金や事業再構築補助金、自治体独自の安全衛生関連助成金などを活用できれば、導入費用の一部を補填することが可能です。

ただし、制度ごとに対象条件や申請時期が異なるため、事前の情報収集が欠かせません。設備導入と補助金申請に慣れた業者に相談すると、手続き面の負担も軽減できるでしょう。

具体的な補助金・助成金については、次の章で解説します。


局所排気装置の導入時に活用できる補助金・助成金

局所排気装置は作業者の安全確保に欠かせない設備ですが、導入にはまとまった費用がかかります。そこで活用したいのが、国や自治体が用意している補助金・助成金制度です。

ここでは、局所排気装置の導入時に活用できる主な補助金・助成金について解説します。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼ばれる制度で、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が中心となって実施しています。中小企業や小規模事業者が、生産性向上につながる革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセス改善のための設備投資を行う際に、その費用の一部を補助することを目的とした補助金です。

ものづくり補助金には大きく分けて2つの枠があり、それぞれ補助上限額や補助率が異なります。

申請準備には2ヶ月ほどかかるため、早めに準備して申請を行うようにしましょう。

出典:ものづくり補助金総合サイト

安全衛生環境の補助金

安全衛生環境の補助金は、工場や作業現場における安全性・衛生環境の向上を目的として、一定の設備を設置・購入、または修理した際の費用の一部を補助する制度です。新たに排気装置や安全設備を導入する場合だけでなく、既存設備の修理や改修も対象となる可能性があります。

ただし、対象設備は法令や規格に適合している必要があり、内容によっては労働基準監督署への計画書提出が求められます。申請時には計画書の写しが必要となるため、事前準備が重要です。

出典:Tokyo支援ナビ|労働衛生環境改善助成金

自治体独自の補助金・助成金制度

自治体独自の補助金・助成金制度は、国のものづくり補助金とは別に、地方自治体が独自に設けている制度があります。例えば東京都では、工場や作業場の安全環境を改善する目的で、局所排気装置や集じん機などの購入・設置費用の一部を助成する制度があります。

局所排気装置の場合、1台あたり26万円を助成対象とし、購入費や工事費を含めて補助を受けられます。自治体ごとに対象設備や助成額、助成率は異なるため、設置予定の地域の制度を事前に確認するとよいでしょう。

出典:作業環境の改善費用の一部助成


局所排気装置に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、局所排気装置に関してよく寄せられる質問に答えていきます。

局所排気装置の自主点検は義務ですか?

はい、局所排気装置の自主点検は義務です。

2022年以降、局所排気装置は労働安全衛生法に基づき、年1回以上の自主点検を行うことが義務化されています。自主点検を怠った場合、法令違反となる可能性があるだけでなく、有害物質の漏えいや作業者の健康被害につながるリスクも高まります。

安全で衛生的な作業環境を維持するためにも、定期的な自主点検は欠かせません。

局所排気装置にはどんな種類がありますか?

局所排気装置には、主に囲い式・外付け式・プッシュプル型換気装置などの3種類があります。

囲い式は発生源をフードで囲い、高い捕集効率が特徴です。外付け式は可動アームで発生源に近づけて吸引します。プッシュプル型は吹き出しと吸引を組み合わせ、気流で有害物質を誘導する方式です。

局所排気装置は自作できますか?

簡易的な局所排気装置は自作自体は可能です。プラモデル製作や小規模な趣味用途であれば、対応できます。

ただし、業務で有機溶剤や粉じんを扱う場合は労働安全衛生法の対象となり、設置基準を満たす必要があります。そのため、業務用途では専門業者による設計・設置が不可欠です。


局所排気装置のことなら株式会社ベリクリーンにお任せください!

局所排気装置の導入には、本体価格だけでなく、設置工事費や周辺設備の調整、法令対応、消耗品、さらに電気代などの継続的な費用まで考える必要があります。初期費用は数百万円規模になることもあり、運用開始後も年間で一定のランニングコストが発生します。

その一方で、既存設備の活用や相見積もり、補助金・助成金の活用などで、導入費用や運用コストを抑えることは可能です。局所排気装置の導入や見直しでお悩みの方は、まずは専門知識と実績を持つ株式会社ベリクリーンにご相談ください。

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